答志島架橋に関する一般質問

三重県議会

・「平成17年 2月」第1回定例会     木田久主一議員    

◎木田県議会議員
次に、離島架橋と鳥羽市営定期船への高速艇導入についてということで質問をさせていただきます。県議会の中でもちょっと地域限定の質問ということで、お許しを願いたいというふうに思います。
 昨年、三重県議会の議員さん全員が参加をしていただきまして、三重県議会離島振興推進議員協議会が設立をされました。県内の有人離島6島のうちの4島を持っております鳥羽市出身の私としましては、大変ありがたく、議員さんに心より感謝を申し上げるところであります。
 昨年12月に二十数名の議員さんが、地振部長さんや県民局長さんを初めとする執行部の方々とともに、離島を訪問していただきました。離島では、県議会が離島へ移動してきたと、こういう声も出るぐらい大変喜んでいただいたところでございます。
 そして、まず訪問した答志島におきましては、各町の代表の方々と熱心な話し合いが持たれました。離島におきましては、病気やけがをされたときに、その治療が手遅れになって命を落とされる、こういうこともあるわけなんです。人の命は地球より重い、こんな言葉もある中で、本土からわずか700メートルしか離れていなくて、3000人住んでいる、この答志島に橋がかからない。これが今の三重県政の状況なんです。
 以前の一般質問でも二度ほど取り上げさせていただきました。政治というのは、水のごとく高いところから低いところへ流れる、それが政治である。光の当たらないところへ光を当てる、これが政治だと思うんですけれども、知事さん、いかがでしょうか。知事さんのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 私の後ろに見える議員さん方は、そういうことについて本当に御理解をいただいておると思います。だから、鳥羽市や志摩市だけの離島ではない、三重県の離島だ、三重県議会で審議をしなければならないという思いがあるから、全員が離島振興推進協議会に入っていただいたと私は思っておりますし、お顔を見ていただいたら、そういうお顔をしていただいているんだろうと思います。そういう中で、やっぱり一政治家としての知事さんのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 橋をかけるのには、確かにお金がたくさんかかります。だけども、経済的に言っても、デメリットだけじゃないと思うんですよね。例えばそれが実現すれば、ある程度、元も取れる。それは、スクールバスが通えることによって、学校やら保育所が削減できる。そして、ごみの焼却場とか処理場とか、そういうものも離島につくらなくてもいい。こういうこともお金がかからなくなるわけなんです。県が出している僻地手当も払わなくてもよくなる。そして、赤字補てんをしていただいております定期船、こういうものも要らなくなるわけです。だから、お金はかかりますけれども、後で元も取れるというところも考えていただきたいなというふうに思います。
 三重県は大変立ち遅れております。広島県や長崎県へ行くと、離島に大変たくさんの架橋ができております。大企業への補助金も大事だと思います。そういった補助金とかサイバーウェイブジャパンのお金とか、そういうものを少し集めれば橋一つかかる、私はそんなふうに思うんです。高いところから低いところへ水が流れるごとくの政治ができるというふうに私は思っております。しかし、我田引水的かもしれませんけれども、本当にそう思っております。強く要望したいと思いますので、知事さん、コメントがあれば、あるいは農水部長さんを初めとして県土整備部長さん、コメントがあれば、後でお聞かせを願いたいというふうに思います。
 次に、市営定期船の問題に移りたいと思いますけれども、鳥羽市には四つの離島がありまして、六つの町が存在をしております。そして、市営定期航路があります。年間100万人の乗客を運ぶ、日本で一番の市営定期航路であります。
 少子・高齢化の波が押し寄せておりまして、働く場所の確保が困難なこと等がありまして、乗客が減少をしております。年間1億数千万円近くの赤字を出しております。それを市や県で補てんをしていただいております。そして、運航されている船は、30年、40年、全く同じ形の船が12ノットぐらいのスピードでのろのろと走っているというのが、全然他意はございません、ゆっくり走っているというところなんです。
 これは、乗客だけではなくて、荷物も運ばなければならないということで、今の船の形態になっているというふうに言われておりますし、ゆっくり走っているというのも、のどかな面もありますし、島民の方のコミュニケーションの場、コミュニケーションの時間、こういったものにもいい面もあることはあるんです。しかし、この1億数千万円の赤字をこれから負担していくのは、鳥羽市にとっても、三重県にとっても、大変なことだというふうに私は思っております。こういうことは、もう放置できないと思っております。
 そういう中で、利用者の方に痛みをかけずに喜んでもらいながら改革はできないかということを考えたときに、その大きな考え方の一つとして、高速艇を導入したらどうかということがあります。津のなぎさまちから「フェニックス」と「カトレア」という船が就航しました。時速30ノットと聞いております。鳥羽の市営定期船の約2.5倍のスピードで走るわけですけれども、例えばシドニーの港なんかへ行くと、双胴船の高速艇がたくさんあります。あれを見て、どうして日本はこういうふうな船がたくさんできないんだろうと。これだけの技術大国で、どうしてああいうものが利用できないんだろうと不思議に思って見てきたんですけれども、こういった高速かつ快適な船を導入することによって、その船をダイヤの中心に据えてフルに活用すると。そして、本当は2隻あればいいんですけれども、それはなかなか難しいですから、1隻、たとえ1隻でも高速艇を導入してフルに活用することによって、その合間に今の船を利用するということができると思うんです。
 こういうアイデアを実行することによって、利用者の方に満足をしていただくこともできますし、それから、スピードアップすることによって船の数を減らすことができる。船の数が減れば、そこで従事している人の数を減らすことができる。そして、今の赤字の一番大きな理由は人件費ですから、長い目で見れば、これは黒字化できるんではないかと。「損して得とれ」という言葉がありますけれども、最初、初期投資はたくさんかかりますけれども、長い目で見れば黒字になって、鳥羽市も三重県も補助をしなくて済む、そういうことが起こるんではないかなというふうに考えているところでございます。
 そして、スピードがあって快適性を高めることによって、住民だけではなくて、観光客とか、それからハイキングをする人たちもたくさん来てくれるんじゃないかなと。お客さんも増える、そして経費が下がる、黒字化になる、こういったいい考え方で回るんじゃないかなというようなことを考えているところでございます。
 主体は、市営定期船ですから、もちろん鳥羽市が主体なんですけれども、だけども、それを県も補助しているわけですから、お金を出しているわけですから、これに対して県も努力をすべきだと思いますし、そして、初期投資にたくさんお金がかかるところを県として力を出していただく、こういうことが県にとってもメリットがあるんではないかなというふうに思います。
 知事さん、はなむけの一つとは申しませんけれども、積極的な御答弁をお願いしたいと思います。
   〔知事 野呂 昭彦君登壇〕

◎知事(野呂昭彦君) 
木田議員のいつもながらの郷土に対する思い、今日は殊のほか強く出されての御質問でございますが、まず架橋の話でございますけれども、離島架橋につきましては、船舶に頼らない陸上交通を確保する、また、島の産業や生活圏の広域化を促していくということと同時に、まさに住民の生命、あるいは生活を守るライフラインとしても役割を果たすということでございますので、これは島民の皆さん、木田議員等も含めて鳥羽市の皆さんからの強い要望があるということについては、よく承知をしておるところでございます。
 しかしながら、離島対策につきましては、産業、交通、生活環境等、幅広い取組が必要でございます。しかも、莫大な費用を要するということでございますので、現在の厳しい財政状況の中におきましては、長期的な課題であると認識をいたしておりまして、幅広く検討をさせていただいてまいりたいと、こう思っております。
 次に、定期船、高速船等のことについてでございますが、市営定期船は離島の方々にとりまして、本土との唯一の公共交通手段でございます。日常生活を支える上で欠くことのできない重要なものでございますから、このために定期船の運営に係る欠損がございますので、これにつきましては、国及び県が補助金を交付いたしまして、その運営を支援しておるというところでございます。
 鳥羽市では、御承知のとおり、市営定期船で年間100万人を超える乗船客があるということでございます。そして、議員御指摘のとおり、全国有数の観光地でございますから、経営改善とか、あるいは離島への観光客などの誘致を進めるということをやってまいりますれば、補助金等に頼らない自立した経営も可能ではないか、このように考えます。
 そうしたことから、県におきましては、経営改善に向けました鳥羽市の取組を支援できますように、地域振興部と県民局の担当者によりますワーキンググループを発足させたところでございます。御提案の高速船の導入ということにつきまして、これはスピードあるいは快適性だけでなくて、経営改善の面からも一つの手法であるというふうに思います。このために、運営主体でございます鳥羽市の経営改善への取組という中で、その導入の必要性とか、あるいは課題についても御検討をいただく必要があると、こういうふうに思います。
 県としましては、先ほど申し上げましたワーキンググループ、ここでの研究結果、それから鳥羽市での取組成果、こういったものを踏まえまして、今後とも鳥羽市の定期船事業の経営改善に向けました取組につきまして支援をしてまいりたいと、このように思っております。

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